レビュー記事は過去形、情報サイトは現在形。サイトコンテンツを時制で考える

過去形と現在形を考える

ブログからサイト運営を始めた、ブログしか書いたことがない(HTMLサイトは作ったことがない)、レビューを書くのはわりと得意だけど、かっちりと構想を練った情報サイトは作ったことがない。 そんな方って、けっこう多いのではないでしょうか。

ブログがいいとかよくないとかそういう話ではないのですが、ブログ(特にレビューブログ、体験記、日記)は過去形で書かれることが多いと最近気づきました。

個人的な日記(今日一日のできごとをつらつら書いているようなもの)と、読んだ人をその気にさせる臨場感あふれる体験記をいっしょくたにしてはいけませんが、書き手が一人称で「自分の視点」を主軸に体験したこと、見たもの、聞いたもの、食べたもの、思ったことについて書くとき、フィットしやすいのは過去形だと思うのです。

それで、ふとその思いを以下のようにTweetしてみました。


すると、思いがけずたくさんの♡(いいね!)や、リプライ、リツイートをいただき、そこに私が漠然と感じたこと以上の意味があるのではないか、と思いました。




自分の体験を再現する文章と再現する人のための文章

フロー情報とストック情報のことをここで書くと長くなるので省略しますが、

「今日ユニバーサルスタジオ・ジャパンに行ったら雨が降っていたので、いつもとアトラクションを回る順番を変えてこういう順序で回ってみたら、あまり待たずに乗れてラッキーだった♪」と過去形で書くのが自分の体験を再現する文章

そして、「雨の日にユニバーサルスタジオ・ジャパンでできるだけ待ち時間を少なく、効率的にアトラクションを回る方法」を現在形で書くのが再現する人(=これからそれをする人)のための文章

だと私は解釈しました。

そう考えると、料理本に載っているレシピ(○○○の作り方)が現在形で書かれているのも腑に落ちますよね。だって、料理本は、その料理を上手に作ることができる人が、まだその料理を作ったことがない人や、どう作ったらよいかわからない人、すなわち「これからする人」に向けた情報なのですから。

例外はありますが、一般的に現在形で書かれたストック情報は情報としての価値が長く続く(寿命が長い)ことが多いように感じます。 だからこそ、価値を積み重ねていくことが可能になるのでしょう。

複数のブログを一定の更新頻度を保ったまま運営しつづけることに息切れしてしまう人は少なくないと思います。無理もありません。
過去形の文章を書くには、まずインプット(実体験)があり、その後にアウトプットがあるわけで、インとアウトのバランスが崩れると、うまくいかなくなる気がします。


私がいままであまり意識してこなかったサイトコンテンツの時制。
でも、いままでとは違うサイトの作り方をしたいのなら、長く人の役に立つ情報を発信していきたいのなら、複数のサイト運営を無理なく行いたいなら、ゴールのあるサイト作りがしたいなら、「時制」を意識したコンテンツ作成が必要だと思っています。

これを読んでいるあなたが、過去形の文章ばかりを書いていて、息切れを感じているのなら、コンテンツの「時制」を意識することが、一つの突破口になるかもしれません。

過去形で書かれるレビューや体験記にしかない魅力も

ただ、矛盾することを言うようですが、現在形で書かれた文章すべれての寿命が長く有益で、過去形で書かれた文章が必ずしも日記の延長だとも思っていません。なので、今後も過去形のレビューも書いていくつもりです。

私は過去形で書かれた「特別な作り方をされたチョコレートのレビュー(取材記事)」を読んで無性にそのチョコレートを食べたくなった経験があります。旅行記を読んでその場所へ行ってみたくなったり、映画を観に行った人のブログ記事を読んで映画館に足を運んだこともあります。

想いのこもったレビュー記事は人の心を動かします。さらに、読んだ人の何パーセントかに行動を起こさせる力も持っていたりします。
そういう部分に、私はレビューの、あるいはブログの魅力を感じています。

「ayanさんがレビューを書いていたシャンプー、良さそうだったから私も買ってみたんだけど、本当に髪がサラサラになったよ! 良いものを教えてくれてありがとう。」そんなふうに言われる喜びはたとえようもないほど大きいのです。

現在形で書かれた情報サイトが「その道のプチエキスパートや教科書的存在」であるのに対し、過去形で書かれたレビューは、自分がしてみたいことを一足先にやってみた「先輩的存在」なのかな、と思います。

「先輩がやっている○○○が楽しそうだったから、自分も影響されて始めちゃった!」なんてこと、ありますよね。それが思いのほか楽しければ、教えてくれた先輩に感謝することでしょう。

先生や教科書は知りたい情報を間違いなく的確に教えてくれる存在。わからないことがあれば、何度でも開いて(聞きに行って)知識を得ることができ、自分が物事をうまく実行するのとても有益です。けれど、自分より一足先を行っている「先輩」の存在も、先生や教科書とはまた違う形で、いいものだと思うのです。

もし今までコンテンツの「時制」をあまり気にせずに文章を書いていた方は、自分の作ったページを見直して、時制を確認してみるといいかもしれません。無意識に時制を使い分けてきた方は、もっと意識的に行ってみると、何か変化があるかもしれません。

これまで、私は複数のブログを同時進行で(更新頻度をキープして)運営できないことに情けなさを感じていました。自分の能力不足、努力不足のせいだと感じていました。でも、それは単なるリソース不足が原因だったのかもしれません。

自分の時間を、エネルギーを、何に注ぐかは、もちろん自分の自由です。でも、時間もエネルギーも有限だから、本当に自分が作りたいコンテンツはなにか、あるいは「自分が人の役に立てることってなんだろう?」とじっくり考えてみるとよい気がします。

できることなら、ほかの誰かができること(すでにしていること)ではなく、自分にしかできない方法で、読み手の役に立てるものを作りたいな、と私は思っています。

大切なのは、それが「これからする人のために」なるかどうかですね。


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